『お墓がない』

日本のお墓事情がわかる映画。
・身寄りのない人(無縁仏になってしまう人)にはお墓を売らぬ。
・お墓に多様性がない。
・お墓はビジネス。
・お墓は宗教(仏教)。(すなわち墓に入れば門下に入る。)
・お墓は地位の証明。
・お墓は文化。

民法の規定では1世代完結のはずなのに、お墓=家は継続して存在している。
そんなに家がすきなの?
家名が続くことが大切なの?
だったら結婚して姓を変更した女(婚姻の98%は女性が改姓)は、自分の旧姓の墓に入れないことは悔しいはずなのにね。憎い姑と同じ墓に入るのはいやなはずなのにね。
なーんて思ってしまう。が、
究極的には家なんてどうでもいいんだろう。ただ慣習が嫁ぎ先の墓に入るというだけであって。墓があることが大事なだけであって。それをしないといけないという強迫観念があって。

この映画は孤児の(家族がいない)女優が末期のがんを宣告され(結局早とちりだったんだけどね)自分に見合ったお墓を探すという話だが、お墓と家が結びつかない人、お墓の文化を理解できない人にとって、日本で墓を探すというのは本当に難しいということを感じさせる。この映画のCMを昔見たときはかなりコメディ調に脚色されていたから、『おばさんの戯言か?』と思って興味がなかったのだけど、うん、結構面白いよ。