女と派遣労働

http://d.hatena.ne.jp/idiot817/20040326#p1
で取り上げられている年収低い方が「派遣という働き方」に満足? ワーキングパーソン調査の森がいろいろと興味深かったのでコメントしようっと。

まとめてみたよ。

<調査の目的>
2002年度、日本の派遣労働者数は 213万人(厚生労働省発表の労働派遣事業事業報告)。そのうちの 4分の 3を女性が占めている(2002年版総務省就業構造基本調査)。派遣労働者のうち女性に商店を当てて、自分の仕事や職場環境をどう評価しているのかを探る。

<調査の概要>
 調査時点での雇用形態を「派遣社員」と回答した女性123人を対象としている。

<調査の結果と考察>
1.派遣就業者の年収別(200万円未満、200〜400万円未満に分ける)就業形態満足度
  結果:年収が低いほど雇用形態に満足するという逆転現象が起きている。またそれは既婚者のほうが顕著。

  考察1:収入以外の満足(職場の雰囲気、ブランド力)を得ている人がいることが結果の一要因ではないか。
  考察2:年収100万円未満の既婚者は40%、未婚者は7%と開きがある。
      ここに「収入面で家庭を支える主役は夫」という考え方が見え隠れする。
「結婚」も"逆転現象"を説明する一つの要素といえそうだ。
2.A未婚高年収 B既婚高年収 C未婚低年収 D既婚低年収 に分類した場合の職場評価項目の違い
  結果:a.未婚女性は収入の高低に関わらず職場の美しさ、企業のブランド力を評価で重要視する。
      b.既婚女性は責任ある仕事を任せてもらえるかどうかを評価する。Dは雇用の安定を最も評価する。
      c.高年収は「やりたい仕事ができる」「経験・専門性が生かせる」の評価が高い。
     
  考察:a.未婚者は収入以外の評価が高いから派遣社員として働いているといえる。
      b.「家庭という守るものができると、職場の見方も変わってくる。そんな解釈ができる。」
      c.「派遣という仕事で比較的高い収入を得る人たちには、仕事の内容にこだわるプロ志向が目立つようだ。」

<結び>
『このように派遣社員という雇用形態で働く女性も、ライフステージに応じて仕事に求めるものは多様だ。「派遣社員はだいたいこんなもの」と思い込み、それに基づいて画一的なマネジメントをしてはいないだろうか。再点検してみる必要があるだろう。』

ふむふむ。

調査の規模が小さいところが信頼にかけるけれど、まあいいや。     
わたしが気になったのは、既婚者に対する配慮の欠けた考察。
既婚者が安定や遣り甲斐を志向するのはなぜかについて、「家庭という守るものができると、職場の見方も変わってくる。そんな解釈ができる。」ってなんじゃいな?家庭のために(補助的に)働くとはいえ、それが仕事選びの絶対的な基準ではない。
既婚者、中年女性の職場や雇用形態の現状は、責任ある仕事が少ない、年齢制限がある、不安定な中小・零細企業が多いといった不利な条件に仕事が限られてしまっているから、よりよい条件を求めているに過ぎないのではないだろうか。若い人のようにブランド力のある会社、都心の綺麗なオフィスに派遣されると思う?派遣されないでしょう。社員だっておばさんはすくないんだからさ。
こういった雇用における年齢格差の状況を見過ごして、「ライフステージにあった働き方ができますね」という幸せな考えに行き着くこの書き手(男性)から、男と女の断絶を感じる。
女の若さに評価を与える男社会が作った女の格差に対しての無自覚さにハラが立つね。(言いすぎ?)