皇居と月と東京タワー

友達と格安物件を探しに不動産屋へ。
私は本当に貧乏で、もう、本当に。
月7万円が安いという価値観は持ち合わせておらず、店員の嘲笑にもめげずに、1万円くらいで生きてゆけないものかと、今もなお、妄想している。恥ずかしげもなく。
私は実家という物理的意味での「家」があるから、生きていけるんです。
感謝したくなくても、せずにはいられないマイホーム。虚構で作られたアットホームな食卓も満面の笑みで対応いたします。もちろん食費もお支払いいたします。
腹立たしい。学生という身分が。
だからといって、フルタイムで働くほどの動機も持ち合わせておらず、性を売るという原始的な労働に頼り、男に巣くう寄生虫のように生きるだけ。
そう言いつつも、現在の不安定な生活、産業の隙間を狙ったような仕事は、私の性にあっているのであり、不安ながらも不安なままで、このままで良いと思う。このままでいさせてと思う。
次第に日常が窮屈になり
満月の夜
あの人を除いて誰にも言っていない狂った私の性質や過去-現在を親友に明かさずにはいられず、
私は一つの場所に安住することなど不可能なのだし、いつもそうであったということを再認識する。
繋がりのない、一人は嫌。
押し付け合う、恋愛も嫌。
見ぬ振りをする、結婚も嫌。
別のものがほしい。
揺ぎ無い、変わらない、    がほしい。


突然、友人から連絡が入った昨日、本当は温泉に入りたかったんです。
すべてを溶かしてしまいたかった。


バカとゴッホ(1) (モーニング KC)