PACSについての公演@東京大学

イレーヌ・デリー
『フランスにおけるパクス法の影響〜フランス法パラドックス同性カップル論争〜』

法律執行後の様子ではなく、法案制定以前や制定中の政党・社会・世論についての解説。フランス法の、義務を負うものにしか権利を与えないという基本方針は、PACS法、内縁を事実としては認めるが、公的カップルとしては認めていない、というパラドックスが存在する。PACSは妥協の結果としてのつなぎの法制であり、今はPACSを結んだ人への権利の拡充の時に来た。

《感想》
国民がフランス法に従順だったために、法案が初めて出された90年ごろまで非婚カップルが権利を求めることはなかった、というのが面白かった。やむを得ず法に従わず不利益をこおむったとしても、法を絶対視するため、不利益を自分の責任として受容するのだから、ほんと馬鹿というか生真面目だ。まあ、それは冗談としても、フランス法ナポレオン法典)が契約的側面を強く有していて、国民の価値観にまで染み渡っている気がした。(18:30〜20:10)