嫉妬の香り 辻仁成

ISBN:4087476960
2000年のものなんだね。
知らなかった。ドラマにもなっていたんだね。全く知らなかった。

恋人との穏やかな日常に、突然生じた疑惑。彼女は自分を裏切り、あの男と愛し合っているのではないだろうか?身をさいなむ嫉妬。崩壊して行く関係。それでもなお彼女の放つ香りは理性を奪い、「私」をとりこにする。そして、白い花の香りをまとったもうひとりの女―。欲望?それとも愛なのか?「香り」を通奏低音に、藍についての張り詰めた問が続く、狂おしく、ピュアな恋愛小説。
(文庫本の後ろから引用)

うーん、スリルありますね、ドキドキしますね!と思って買った。

共感しやすい面が多かったし、登場人物の苦悩が面白かった。
それにしても、主人公の男の目線で描かれた女たちは魅惑的であり野性的であり純粋であり可憐であり…男の欲望を通して実体化されているように思えた。だから生身の女の行動は理解できない。不必要な嫉妬が行動を狂わす。愛に真剣であり、愛について考えているけれど、愛を知らない。愛し方、愛の形ばかり見てないで、今を見ようよ、いろんな愛があるんだから気にしないでさ。という話でした。純粋であり、そしてそれが、ばかだなぁでは済まされない悲しさを後に残す話だった。