教育機関への財政支出、日本は加盟国で最低・OECD

経済協力開発機構OECD)が14日発表した「図表で見る教育」(2004年版)で日本の教育機関への財政支出が最低、女子学生・留学生が際立って少ないことが明らかになったとのこと。

教育機関への財政支出国内総生産(GDP)比でみると、日本は3.5%で、フランスの5.6%などを大きく下回った。財政など公的支出と寄付金・授業料など民間の支出の比率では、特に大学で公的支出の比率がOECD平均の78.2%に対し43.1%と低かった。

大学教育での女性の卒業者の割合は2002年に学士39%、修士26%、博士など23%だった。OECD平均は学士・修士とも女性が50%以上で、日本は加盟国中最低。

このことについての意見として、例えば

要は、日本では親に教育費の負担が行っているということ。これはGDPデフレーターにも表れない数字だが、国民生活をかなり圧迫する要因となっていると見る。日本の一人あたりGDPが大きいとかいって日本は豊かだなんて喜んでいる人はミスリードされているね。これに限らず日本の家計には「扶養家族」が多すぎるのだ。
Letter from Yochomachiより )

そしてこのことについては、「国際人権規約」のうち、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」の第13条「教育について」に対する日本政府の見解がよく物語っている。「……それが問題だ。」で詳しく説明してくれているので参考に

特に注目すべきは(第13条の)2の(b)(c)の項目である。実は日本政府は、

第13条2(b)及び(c)への留保(筆者註:「留保」とは、規約には総論賛成だが、各論として受け入れられない部分がある、という意思表示)
(1) 我が国においては、義務教育終了後の後期中等教育及び高等教育に係る経費について、非進学者との負担の公平の見地から、当該教育を受ける学生等に対して適正な負担を求めるという方針をとっている。
 また、高等教育(大学)において私立学校の占める割合の大きいこともあり、高等教育の無償化の方針を採ることは、困難である。
 なお、後期中等教育及び高等教育に係る機会均等の実現については、経済的な理由により修学困難な者に対する奨学金制度、授業料減免措置等の充実を通じて推進している。

(2) したがって、我が国は、社会権規約第13条2(b)及び(c)の規定の適用にあたり、これらの規定にいう「特に、無償教育の漸進的な導入により」に拘束されない権利を留保している。

という理由(ソースは外務省の留保理由等の説明文書)をつけて、「中等教育(高校)以上については、受けられない人もいるのだから、受ける人(=受益者)負担が当然」と開き直っているのである。

コレに対して国連の「経済的、社会的及び文化的権利に関する委員会」は、その最終見解にて批判的な態度を示したものの、日本政府は開き直った発言(「最終見解に対する締約故国の意見」)をしているそうだ。

二極化。階層化。という側面。
そしてそれに加えて、今回のOECDの「図表で見る教育」で明らかにされた女子の大学以上の高等教育進学率の低さは、まだまだ性規範に従ったライフコースを歩むよう様々な場面において教育されている結果であることがわかる。
男子大学生の親の所得よりも女子大学生の親の所得のほうが高いということからも既にわかっていたことだけれど。

教育費の負担が大きいということが進学を阻害する要因になっている、それは特に女子にとってそうであるということをよく考えて欲しいよ。もう。私も家で親との間での葛藤が絶えることがないのだからさぁ。