赤川氏の功績

昨日(http://d.hatena.ne.jp/chidarinn/20050708/p1)紹介したシンポジウムを見に行ってきました。
報告では、昨年12月出版の『子どもが減って何が悪いか?』の著者である赤川先生が、著書のポイントと、出版以降様々な研究者などから受けた質問・意見に対して返答するという形でお話されました。
大沢先生は何を今更的な内容も有りましたが、ご自身の未公開資料を出すなど、多様な資料から、労働市場における階級格差、ジェンダー格差、年齢格差、正規雇用/非正規雇用格差について、いかに若年、非正規、女性が働きにくいかを示されていました。

このシンポジウムは、当初の予定では、
男女共同参画政策への施策としての少子化対策を批判する、赤川学
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男女共同参画会議など政策の場にコミットしている、大沢真理
という、対立した立場にある二人を報告者としてバトルを繰り広げさせる事を目的としたものの、両者の論にはほとんど差は無いようでした。
これは、真に差が無いのか、少々疑問でも有ります。
というのも、そのほかのコメンテーターも同様にですが、「○○は、●●で既出であります」とか、「私の著書に書かれていますが」「私も以前から考えていました」(○○は赤川先生の著書の結論)いうことを、鬼の首でも取ったかのように言うので、そのように断片的に拾って同じだと言ってしまっていいものか、それこそ雑な扱いではないのか*1と思ってしまうのです。
確かに、少子化対策少子化に繋がらないとか、少子化を前提とした政策立案すべきだ、という赤川先生の一部の結論は、目新しい物ではないと思いますが、「男女共同参画社会」にひきつけて、その関係から考察を行っていることが、全く新しい試みだと思います。誰もが、自明として問い直すことの無かった、或いは、問い直すべきではなかった*2ことを、がっつり問うているところを、私も見習いたいと思います*3

今日は私は私用で後半部分のディスカッションが見られなかったこと、大沢先生の現場の裏話を聞けなかったことが、非常に残念でしたが、とても良い勉強になりました。

*1:先行研究として既出済みの事実を、引用も無く結論として提示していることに対して「研究者としてあるまじき事」と言う様に言っていたので

*2:男女共同参画社会推進法を通すための妥協案であった部分があり、理論よりも現実を取ったということ

*3:私の研究対象である、男女共学化について