飲んだ女に魔の手が

端的に言えば、無防備な女が悪いのかもしれない。
しかし、それを覆す話をするのも、また面白いかもしれない。


実際、アルコール量としては大したことはないのだが、空腹時の飲酒であったことと、最後に飲んだウィスキーのダブルがいけなかった。
気分欲飲み会の会場を後にしたわたしは、お目目はうつろ、足取りふらふらのまま、うわさの埼京線に乗り込んだ。しかも、怖いもの知らずの女子高生的ミニスカで。
そして体験したのは、
二駅間に二人の痴漢。
決して犯罪を許容するような性的志向を持ち合わせいているわけではないですが、ただ、彼らがわたしの尻(否、それ以上)をどのように触り、どのような顔でその行為をしているのかが興味深かったため、その行為を平気で行う汚い顔を電車の窓ガラスより見届けたかったため、あえて痴漢に対して抵抗をしないでみたわ。
そうね、徐々に、そして臆病に、局部に迫ってくるあの冷たい手の感覚。
さあ、さわってみなさいよ、という挑発的なわたしの態度。
犯人とわたしとの距離はかなりあるにも関わらず、見ぬふりをする大衆。
なんとも支離滅裂な空間である。

もう一度言うが、わたしは、抵抗できなかったわけではない。男性の快楽に乗じて抵抗しなかっただけでもない。快楽を快楽として処理するシステムに対抗するために、自分の身体を用いて、触られることを客観的に観察したにすぎない。