女にとって結婚は死活問題

昨晩、NHK総合テレビ 7月24日(月) 午後10:00〜11:28 「プレミアム10(生放送)「女性の“うつ”」」を見ていました*1
番組に出演していた女性、そして、ファックスやメールの文章から、女性は家庭内で家事や介護をしても「当然」としてみなされ、そして仕事場では男性と同じだけ頑張っても「男性に劣る」として、周囲に理解されない分、必要以上、男性以上に頑張っていることがわかりました。もちろん、本人が好きでやっている部分もあるのですが、そのがんばりを「当然」という言い方で、あるいは「好きでやっているんでしょう?(ならば、文句言わないで)」と、家族などに認められないのは、がんばっている充実感を無気力に反転させるほどに、ストレスを感じさせると思います。
うつになった妻を支える夫も、誰にも相談できずに家族のためといって頑張るため、結局、自身もうつになってしまうというように、家族という閉塞した空間で「愛」の名の下に、まさに一心同体で「がんばる」という状況は、酷であると思いました。
仕事をもっている/もっていないに関わらず、家庭に入るや否やうつになる女性が多いということは、半ば社会問題であると思うのですが、どうなのでしょう。

うつになる女性がいる一方で、ユーキャンが実施した「子供のいる専業主婦の意識調査」(「耐え忍び 幸せなりや 愛の日々…ああ“主婦業”」YOMIURI ONLINE(7/21))で行われた調査では、「専業主婦業」への思いは漢字一字でどうあらわせるかを質問したもので、「楽」が30人(300人中)とトップとなったそうです。確かにトップが「楽」なので、よく言われるように「専業主婦は楽でいいわよね」なんてメディアで描かれるようなイメージがわいてきてしまいます。しかし、その後に並んだのは、「家」25人、「忙」21人、「忍」18人、「耐」13人の順だというように、「楽」よりも多くの人が、控えめながらも苦痛の思いを抱いていて。きっとこちらが本音でしょうね。

山田昌弘は専業主婦を「自分の生活水準が夫の収入に連動する存在」と定義していますが*2、働かないということは、まさにそういうことであって、いくら家事で努力したところで、生活水準が上昇するわけではないです。だから、この日記の23日の記事でのコメントで「経済力の有無のよる、女性側からの男性差別」について聞かれていますが、それは「差別」というよりは、女性が専業主婦を選択できるかどうかの基準、すなわち(個々人の基準でですが)必要最低限の生活レベルが保てるか、それ以上かどうかという、生き延びる上で至極当然な選抜を行っていると思います。どこかのセレブのように金の使い道に困るような生活は無理としても、まぁ妻が働かなくても生きてゆけるくらい夫が稼いでくれるというのが、これまでの日本企業のありかただったとは思いますが。そしてこれからもそれが可能と思って仕事をやめて後悔をするわけなのですが。どうなんでしょうね、これからは。
先ほどのユーキャンの調査では、仕事に関する質問もしていました。「「今後、チャンスがあれば働きたいか」との質問では、全体の94・3%にあたる283人が働きたいと考えており、仕事への関心の高さが改めて浮き彫りになった」そうです。
この人たちの階層について分かりませんが、専業主婦という身分が素敵なものならば、このようにその身分を捨ててでも仕事したいとは思わないはずであって。彼女らを仕事に駆り立てるそのほかの要因、つまり経済的な困難がこれらの家庭にある、あるいは専業主婦はうんざりという気持ちがあるということになるわけです。どちらにしろ、うつのことも併せて考えると、普通の家庭の専業主婦はそれほど良いものではないように思います。

男性の経済面に期待をするあまり結婚の選択の幅をせばめてしまうよりは、女性は自分で働いて稼げばいいのだと思います。男女の賃金格差も狭まってきたことだし、結婚退職や出産退職などせずに、二人で働いて専業主婦のいる家庭の二倍の収入を得たほうが、よっぽどいい。だって、結局専業主婦は働きたいと思うようになるのだから。人に「養われる」だなんてナンセンスな約束などせずに、自分が自由に使えるお金を手にしたらいいのにと思うのです。

でも、それが簡単にできないから、仕事を持つ者はうつになるんだし、未婚者は幸せな専業主婦(というイメージ)にあこがれるのです。ほんとうにジレンマです。切ないです。(もしも、上の段落で言ったことで傷つく人がいたら、すみません。)
働きやすい世の中になればいいのに(あるいは、一生学生でいい世の中になってほしい。私の願望)。

*1:姜尚中さんが出ていてびっくりしました。彼も40代はうつ状態があったそうです。

*2:専業主婦が家計の豊かさによってその仕事内容がかわってくることから考えると(たとえば、食器洗い機を買えるか、ベビーシッターを雇えるかなどの家事の外部化が可能となる)、専業主婦をその仕事内容で定義するよりは経済的な側面から定義するのは、目から鱗的なものがあります。