苦し紛れに読んだ苦しい本⇒『デブの帝国』*1

アメリカ社会が、企業が、教育が、宗教が、文化がいかにしてアメリカ国民をデブの道へと導いたのかを社会学的に考察するというお話。精神分析からの肥満を考察する本はかなりあるけれど、これは肥満を社会問題として扱っている点で目新しかったのでは。
というのも、アメリカの文化は多様性を認めるという点で比較的肥満に寛容だったが、それは肥満を問題として扱うことをタブー視していたから。特に、階級が低いほど、所得が低いほど肥満になる確率が高い、という事実はさまざまな問題を生じる危険があるとして否定され続けていた。
健康維持、増進という単語が肥満が国家レベルの問題となるまで存在しなかったこの国の、国民(消費者)を無視した商業戦略、それに加担する数々の政策は呆れんばかりである。

おせっかいながらも義務教育、さらには高等教育まで体育が必修となっているような日本の平等志向もなかなかいい面があるじゃないか。アメリカの資本主義の極み、荒みを生活、社会の両方向から見ることができる本だった。*1


久しぶりに書評らしいものを書いたなあ。
1週間ほど何もしなかったからね。今日を機に思い出せない午後にお別れをするよ。

*1:しかし、この本は論文ではないため、事実と考察が入り混じっている。そして論が粗雑。しかもせっかく図表を入れてはいるものの、内容と合致しない表もあった。ま、今は私の頭がおかしいから、あまり気にせずがしがし読めていいんだけどね。きちんと読んでると突っかかるところが多い(はず)なので、それほどお勧めはしないです。