現代政治の思想と行動

第一部一章〜二章を読んだ。
1章「超国家主義の論理と心理」の超国家主義の思想構造乃至心理的基盤についての分析が面白かった。皇軍観念、価値的優越
を抱く日本の軍隊は独善意識を持っても独裁観念は持たない。行為に対する責任を感じない。その理由は各々が被想定的意識しか持たず、究極的価値たる天皇に近接するべく行動をする事で優越感を感じ、天皇に依存しているだけで、行為の主体ではないから。では、戦争の主体は誰なのか。国民の絶対的実体となった天皇なのかと思うが、そうではなく、天皇についても無限の「神武創業の古」に遡る伝統の権威を背負っているのであって、主体たりえない。そしてこのことより、日本の超国家主義における権威階層を考えると、権威の中心的実体であり道徳の泉源体である天皇を中心として同心円上で表現できるが、その中心と言うのは一点を示すのではなく、垂直方向に伸びる縦軸と表現できる(つまり丸太を想像するといい)。

超国歌主義において、戦争の主体が誰かという問題提起はナンセンスであって、行為の事実のみでしかその責任の質や量を問う事ができないということが言えると思った。

「国法」が「国法」より流布することで自らの妥当性が内容的正当性に基礎付けられ、精神領域にまで支配構造が及ぶ、超国家主義が、各階層、階層間、においてどのように作用し行動させたのかが分かりやすく書かれているいいないようだった。