セックスワーカーと自己決定権

※参考に、買売春に関する法律はhttp://d.hatena.ne.jp/chidarinn/20040010をご覧ください。

買売春、生産業、セックスワークに従事する女性をどのように考えますか?


私は気づいたんです!
そこに孕んでいる問題を考える際、女性、女性が置かれた状況ばかりに注目して、その買春をする男性のほうを無視していたことを!


例えば、どうしたらセックスワーカーの現状が改善するかを考えるとき、その解決の策の前提として「セックスワーカーが労働者として認識され、労働者としてそれ相応の保護がなされる必要がある」と考えていた。それは、セックスワークをサービス労働の一種と見なし、『正規の』労働と同列に並ぶことによって労働者の地位(技術者、プロ、専門家として)が認められ、労働環境も改善するだろうという、かなり楽観的な見かたであった。
確かに、労働環境が変われば、女性が保護される状態になれば、多少は安心して働けるかもしれない。
が、変わるのは売る側だけでいいのか?という疑問が残る。


密室では男は客で女は売り手。でも店では男が雇用主で女は雇用者。
そして、密室でも店でも男は能動的で女は受動的という二重基準が重なる。
自己決定権によって選択した職業であったとしても、その職場内で彼女の自己決定権は奪われる状況があるといっていい。
受身である労働者は消費者であり能動的主体の要求を拒めないし、労働者は雇用主の労働条件を守らねばならないので、結局のところ自己決定権というのは職業選択の段階までの権利なのだ。


女性のこの状況を受け入れてから、女性を守る、女性の自己決定権を認める、というのはなんか変ではないかい?
買い手の行動に、男性に支配性を女性に服従性を求める社会的規範が投影され内面化されているから、セックスワーカーが貶められるのではないかい?原因と結果をしっかり見ようよ、悪いのは何?


たとえばさ、銭湯を思い浮かべて。
あれは刺青の入った人は入浴を断っているでしょう。入浴者の間のトラブルを避けるという意味で行っている規制かもしれないけれど、店の利益が侵害されるという意味にもつながるわけで。
また、私は和民で酔っ払って気持ちが悪くて横になっていたんだけれど、そしたらすぐに店員が来て『ご気分が悪いようでしたら外に出てください』ということを言ってきた。少々ハラが立ったけれど、店の風紀を保つ目的もそこにはあるのだと思う。


つまり、商売を運営するにあたって利用者・消費者に多少の規制を設けることが、サービスの質や経営の維持に必要となる場合があるのだ。トラブルが発生する場所では特に!


よって、生産業においてもこういう風に顧客に対してあらかじめ禁止行為を設けるといったきちんとした規定を設けるべきだ思う。金を払ったんだから何をしてもいいんだという消費者の強さと、モラルとをきちんと分けて考える必要がある。特にセックスワーカーは他のサービス業と違って男女の権力構造を内包するため、無自覚的であり、故によりいっそう規制を厳しくしないと。