落ちた“暮らしの技術”

いきいき「力」セミナー 第4部 家事名人 : 大手小町 : YOMIURI ON-LINE(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/20040924sw81.htm

お茶の水女子大学附属高校の家庭科の田中京子先生の連載。田中先生は私の教育実習の担当教官だった。

夏休み、1、2年生全員に「毎日“包丁日記”をつける」という課題を出した。キュウリでもいい、ケーキでもいい。食材を一つ選んで包丁で切り、感想を書き留める。とにかく台所に入らせるのが狙いだ。
(途中略)
田中さんがこんな課題を出したのは、生徒たちの調理経験のなさに危機感を抱いたからだ。準備にも後片づけにも時間がかかり、ここ数年は調理実習が授業時間内に終わらないこともあった。

教育実習中に、この夏休みの課題については聞いていたが、今年も実施したんですね。
確かに実習で観たように、高校生、包丁が上手く使えない人が多い。包丁の技術的なものだけでなく、方法的なもの(どうやって切ったら効率が良いか。早いか。キレイか。安全か。など)も機転を利かせて考えられない。

NHK国民生活時間調査(2000年)によると、炊事や洗濯、買い物など1日(平日)の「家事時間」は10―15歳が12分、16―19歳が21分。30年前の調査と比べ、ほぼ半減している。

 総菜など調理済みの食材が増えたことも背景にある。だが、将来、自立した生活を送るためにも、調理に対する苦手意識をなくし、「私ってけっこうイケルじゃない?」と思わせてやりたい――。包丁日記には、田中さんのそんな狙いが込められている。

調理の経験が少ないのだ。
例えば、たむらくんはあんなにドラムもベースもなんでも非常に上手く弾けるのに、包丁の扱いのほうは未熟で見ていてもどかしくなる。
そしてせっかく1人暮らしをしていても、包丁がうまく使えないと料理はしないし、料理をしないからおいしい食べ物を作れないし、おいしい食べ物をつくれないから、包丁を握らずに外食産業を利用する。

田中先生は「将来、自立した生活を送るためにも」調理ができることを期待するが、しかし、私は必ずしも”手作り”にこだわらなくてもいい、と思う。最近ね。そりゃ、料理ができて悪いことなどないけれど、お金に余裕がある、時間がない、1人暮らしで家にいる時間が少ない、キッチンが不便な家だ、など自宅での料理が困難な場合だってある。料理することが苦にならない程度、うまく出来上がり商品などを利用して、必要な栄養を充足できるような食事を摂取することが出来る能力や、食に必要な知識を身につけることのほうが大切に思える(家政婦の仕事をしてそう思った。家事の苦手な母親がそれでも子どもに手作りの料理を振舞おうと頑張るが、時間がかかりすぎたり、しかしその割には使う食材が少なかったり偏ったりして、バランスの悪い食事をつくっているのを見てきたから)。完全な料理嫌いにならないように、料理がもっと誰でも簡単に気楽なものになればいいと思う。やっぱり自分でつくって食べるメリットは多いわけだからさ。
また、調理そのものばかりに時間を割くのではなく、多少知識偏重の授業になってしまうかもしれないが、化学や生物に結びつけながら栄養と健康について教えられたらいいと思う。(また、コレには副次的な効果があって、生活に関連させながら化学や生物を教えることで女子が理系科目に興味を示しやすくする、理数嫌いを和らげるといことが考えられている。)調理済み食品や外食の際、栄養成分表示が与えられていれば自分で必要な栄養素の過不足分を考えながら食べるものを選ぶことが出来るし、料理が出来ないならそれで十分だから。

また、この連載の最後には、id:matchanのものと思われる、アンケートの回答がのっているよ。

東京都内の男子学生(22)は「親の姿を見て覚えた。今でも料理のコツを電話で聞いている」。

やはり身近に調理するのをみたり、したりする機会がある人ほど積極的に料理をするのだね。私も、土曜日小学校から帰ってきたら、だれも家にいなかったり、いてもおばあちゃんだけなので、おばあちゃんが料理するのを手伝うのから始まってそのうち3年生ごろから自然に1人でご飯をつくって食べるようになっていたなぁ。それが自然だったなぁ。その後くらいに教育テレビで「ひとりでできるもん」という子ども料理番組がやっていて、それの影響もあったり。「キューピー3分クッキング」は土曜日は必ず見ていたし。昔から食に執着の強い子どもであったよ。
想い出話になってしまったのでこの辺でおしまいにしよう…。