植木枝盛君のブルジョア志向

卒論の資料の中で見つけたもの。

植木枝盛『子婦は舅姑と別居す可し』(『国民之友』第32号、明治21年10月19日所蔵)
(要旨)
子婦は舅姑と別居するべき。
だって新夫婦は欧米志向、旧夫婦は支那志向。せっかく学校で学んだ新しい思考や主義も家で古い考えに侵食されて退化するよ。
それに、子を育てるのは自分の老後の面倒を見てもらうためという考えは、親子が相依頼(相互依存)する元凶だよ。資産のある家の場合なら、息子はニートになっちゃうよ。
よって、「其一家の進歩を害し其社会の進歩を害すること甚だ大」だから、子婦が舅姑と同居するべきだよ。


面白いね。
当時では親不孝者!と批判されなかったのだろうか?儒教的家族観の強い時代なのに。勇気ある発言です。今でもあまりいえないよ(いえる?)。あやしい。欧米化を求めるがあまり、理論がつっぱしっているような気がする。
さらに、面白いと思ったのは、同居をしないと決めたらならば、息子は自力で一家を養えるまでは結婚はしないだろうから、自然と早婚の弊習もなくなるだろう、と述べている部分。欧米と比較して、早婚は日本の野蛮な悪習と考えられていたのだね。
じゃあ、現在の核家族化(というよりも世帯規模の縮小化)、晩婚化は喜ぶべき事態だ。
よかったよかった。
家族の規模が小さくなるほど独立意識が育ち、学校教育で学んだ近代的思想も屈折することなく浸透し、さらに国が発展するだろうって理論は面白いね。