Isn't She Great

イズント・シー・グレイト [DVD]

イズント・シー・グレイト [DVD]

深02:55 >> 深04:30 (日本テレビ)深夜ちょうど起きていたので見ちゃいました。その前に「花より団子」も見たけど。

60年代後半、セックス革命で「フリーラブ」が流行になる前。芸能界の裏側と、薬と男とセックス漬けの三人の女優の生活描いたセンセーショナルな小説『人形の谷』(Valley of the Dolls1966)を発表した、ジャクリーン・スーザンJacqueline Susannの半生をつづった映画。ちなみにこの小説、2000万冊以上売れたアメリカのベストセラーで、映画化もされた(『憂愁の花びら』1967)。


小説も面白そうだけど、本日の映画もなかなか面白い。

女優としての才能に伸び悩んだ末、自分の当時としては特殊すぎる性的体験を、小説として売ろうとする。単純に言って、その発端はショウビジネス界に生きていた者の発想(今まで誰も書いていない→売れる!)に過ぎないものだったが、著作に取り組み、表現の「女性的」支離滅裂さ(ジャクリーンは、それを「詩」だと言って訂正を拒むが)についてそれを訂正させようとする編集者(伝統的アメリカ家庭に育った男)との意味や表現を巡る格闘が、非常に面白く描かれている。結局、その編集者とも「友人」(「秘密」を共有する者)として、自分のありのままの秩序、世界観に編集者を引き込むのだが。

また、出版後は信じられないほど謙虚でまめな出版キャンペーンを展開。自分が運転する車でアメリカ国内の書店を巡り、書店主の妻、修道女、そして地方TV(これが最高。料理番組中に「料理をする女は馬鹿です。料理なんかせずに、読書しましょう」とCMをする)で、小説家でもあり芸能界の女である「ジャクリーン・スーザン」という性的にエネルギッシュな存在を売りまくる。

どこへ行っても、常に、女と連帯することができるジャクリーンの在るがままの姿、いや、それよりも、どこの女も連帯したがっているその熱望した表情、時代的なものを感じられてとても興味深かった。その媒介をしたのが、この最低で最高の小説。読んでみたいですわ。