各国の性犯罪再発防止対策

同じ?違う?世界と日本:性犯罪対策 再犯防止が共通の難題-(女と男:MSN毎日インタラクティブ:12/24)



アメリカ、ベルギー、フランス、イタリア、イギリスの、性犯罪経歴のある出所者に対する性犯罪再発防止対策の現状があげられている。薬物療法に親和的な発言がイタリアの被告からでるということについて、どう受け止めたらいいのだろう。倫理的に反すると周囲が述べ、しかし、当人にとっては自分で解決できない問題、治療・教育では間に合わない一刻を争う問題のようだ。


以前、アメリカの性犯罪経歴者の出所後の生活について、密着リポートがテレビで放送されていた。この1時間のテレビ番組では性犯罪者の生活を追っているにもかかわらず、リポーターの視点は何か得体の知れないものを見るかのように、性犯罪者を前に偏見を露呈する質問をする。冷静な前科者とのギャップに苦々しい思いをした。
前科者の置かれた状況と言うのは、GPSで追跡され、さらに行動報告(どこに行くか、何をするか、何を買うか、誰に電話するか、どこかに行くときは事前に電話などなど)の義務があり、本人は監視者によって完全に行動を監視される。塀によって生活世界から隔離されていたはずの監獄が、遠隔的監視装置(GPS、電話など)の出現によって、空間的、擬似的に生活世界にまで監獄の規模をほぼ無限に拡大したといえる。釈放は監視からの解放ではない、むしろ、監獄よりもたちが悪い。こうした見えぬ権威に付きまとわれる恐怖といえば、萩尾望都残酷な神が支配する』の主人公ジェルミが浮かぶが、ジェルミが次第に自己が崩壊し始めるのも権威的存在(グレッグ)が消滅して(死んで)亡霊のようにどこへでもジェルミの前にたち現れるようになってからだった。
しかし、私が遠くの場所からこの権威の拡大に対して居心地の悪さを思っても、実際は、監獄の延長が、結果的に、住民を安心を与えるのだ。
そして、その住民に安心を与えるということは、翻って前科者がその地域に住みやすくなるということであり、当人も「生活」を手に入れるために監視されることを受容している。そして、筋肉の下に埋め込んだ性的衝動を抑える薬物に対しても同様に。


これは住民の安全を最優先するアメリカの例だったが、各国の性犯罪を再発するかどうかに怯える住民に対する情報提供、安全対策、各種サポート、そして性犯罪者の捉え方(治療の対象かどうか)を比較すると、監視される人がどのように意味づけをされるかについて、すこし伺える、かも。
国によってそれぞれ、なの。