長所と短所を述べるのは苦手です。

「長所と短所を教えてください」
採用面接や入試などで頻繁にされる質問ですが、最近、それ以外の場所で自分の「長所と短所」を聞かれることがありました。
社内で行われる役員面談においてです。
これまでの採用面接などでは、初対面の人に向かって自分のことを矛盾無く説明するだけでよかったのですが、今回は初対面ではない人が相手…。とりあえず、自分を振り返って長所と短所を述べてみたのです。
確か、長所は「困難があっても前向きに取り組み、乗り越えるまで諦めない」、短所は「気を使いすぎる」でした。
すると、役員は「それは間違っている」と言うわけです。そして、これがお前の長所だと、別の長所「クリエイティブな提案を容易にできる」を指摘しました。確かに、私は企画書を用いた営業が得意ですので役員の指摘も間違っていはいないのですが、私はそれを認めたくはありません。なぜなら、私のクリエイティブな提案は、お客様や社内について本気で考えた結果に生まれた提案だからです。クリエイティブだから良い提案が出来たわけではありません。気持ちが先です。そして私の仕事はどう考えても製品やサービスを売る「営業」ですし、製品やサービスそのものを生み出すようなクリエイティブな仕事ではありません。長所が「クリエイティブ」だなんて、恥ずかしくて言えないわけです。
一方、自分の考えた「前向き」や「諦めない」という長所に対しては、「お前は前向きではない」と全否定されてしまいました。いつもネガティブだし、暗い、のだそうです。確かに私は批判的に物事を考えます。しかし、それはよりよい状態を目指すために必要不可欠なのであり、批判後には課題に対処し、成果を出すわけです。これが私が考える前向きさです。おそらく、役員にとって、彼らが社員にもとめる「従順な兵隊」が前向きな人間像なのかもしれません。


つまり、「長所と短所を教えてください」という質問は、正直に答えるの必要は無く、相手が抱いている私へのイメージ、あるいは私に求めるスキル通り「長所」と「短所」を述べればいい、質問とは言えない質問なのです。これはおそらく、初対面の人に対してこれを述べるときも同じだと思います。暗い雰囲気があると察知されたら、「長所は明るいこと」とか「誰とでも仲良くなれること」など言ってはいけないのです。
「長所と短所を教えてください」
この質問は、なんのための質問なのでしょうね。