講演会「父の娘と母の娘と」田嶋陽子、〈学問/感性/政治〉を斬る

http://www.igs.ocha.ac.jp/SITE1PUB/sun/4/news/report69.html?t=1077241817677
見てきたのだ。
今日は、ご自身のことについて語るという珍しいタイプの講演会であったそうで、とても緊張していると始めにおっしゃっていたものの、大幅に講演時間が延びるというほどに会場は盛り上がっていた。

それにしても、
田嶋陽子さんについてはテレビの印象が強いために、なかなか近づきにくかった。フェミニズムを良くも悪くも世間に広めた人ではあるが、やはりタレントにすぎないのではないか、と思っていたからだ。

しかし実際の田嶋さんは単純に言うと、とても繊細でがんばりやさんであった。

田嶋さんは英文学が専門であるが、自分を落とし込める学問、すなわちフェミニズムの視点から英文学を分析するという方法に行き着くまでに様々な内面的格闘を体験してきた。
特にフェミニズムへと方向付けた経験として、幼少時代から母からの『女らしさ』を求める厳しいしつけや要求を受け、様々な緊張や苦労や辛さを感じていたということがある。田嶋さんは母との関係を『虐待に近い』と言っていたが、確かにかなり長期にわたって母の存在が彼女の中に居座り続けて離れることができなかったたというから、相当な精神に対する暴力を受けてきたことがわかる。
また、フェミニズムを伝えるに当たって聞き手をとても意識した授業や話し方を重要視している。まず、誰もがわかりやすい言葉で伝えることに重きを置いているということと、そのためには自分のフェミニズムを作り、話に一貫性を持たせるということだ。借りてきた言葉ではその主張に矛盾が生じるし、それを聞き手は見破るという。
そしてこのような自分と他者との関係性への客観的で冷静な考察の推進力となったのは、純粋に探究心があり努力家であるということも忘れられない特徴であると思う。

田嶋さんの生い立ち、フェミニズムに対する考え方がとても私のそれと似ていて、それだけでも共感が持てた。私のアイドルですね。


そのほかにも、冠フェミニズム(エコロジカルフェミニズム、などの○○フェミニズムという類のもののことを指す)がいかにフェミニズムの目的を見失っているか、より女を家庭への従属へ誘う主張かがわかったこと、専業主婦の息子は家事につてい知識がなく機転が利かなくてだめだめだということ、『女は穴と袋でしかない』ということなどなど面白い話が満載。

聞き手を引き込むいい講演だった。私にもこういった自信がほしいものだ。

最後に新設にもサイン会までしてくれて*1、本当にサービス精神旺盛な方だと思った。大切にします。

*1:わたしもちゃっかり本を買ってサインしてもらっちゃいました。