教育実習事後指導

事後指導を受けてきた。これで単位も全てそろったし後は自動的に教員免許がおりるのみ。このように教員養成専門の大学ではなくても普通の総合大学で教員の資格を取得できるというのは本当にありがたいことだ。けれども、同時に教員に専門性はあるのかという問題を孕むのであって、それが教員免許状取得の際に介護等体験実習が課されたり、免許更新制や適正性の検討を導入するかどうかなど制度的な検討がなされていることからそのことがよくわかる。



○介護等体験について

やはり、どうしても介護体験等実習について考えないではいられない。

◆小学校及び中学校の教諭の普通免許状授与に係る教育職員免許法の特例等に関する法律◆
(平成九年六月十八日法律第九十号)
最終改正年月日:平成一一年一二月二二日法律第一六〇号

(趣旨)
第一条
 この法律は、義務教育に従事する教員が個人の尊厳及び社会連帯の理念に関する認識を深めることの重要性にかんがみ、教員としての資質の向上を図り、義務教育の一層の充実を期する観点から、小学校又は中学校の教諭の普通免許状の授与を受けようとする者に、障害者、高齢者等に対する介護、介助、これらの者との交流等の体験を行わせる措置を講ずるため、小学校及び中学校の教諭の普通免許状の授与について教育職員免許法(昭和二十四年法律第百四十七号)の特例等を定めるものとする。

(「法令データ提供システム」より)

このように、介護等体験は教員職員免許法の特例法として成立した。そして、この実習は「個人の尊厳及び社会連帯の理念に関する認識を深めることの重要性にかんがみ、教員としての資質の向上を図り、義務教育の一層の充実を期する観点から」義務教育における教員免許法を取得する者に課せられている。
ここで幾つかの疑問が起こる。

  1. 義務教育の教員免許状を授与する者を対象とする理由と、高等学校の免許状授与者には課せられない理由は?
  2. 教員免許状取得にのみ介護等体験が必要とされる理由は?
    1. 他の対人型の仕事には不必要なのか?
    2. 教育課程にボランティア活動が含まれたから、教師も事前に体験することが必要だから?
  3. 障害者、高齢者(つまり弱者)(の施設)を実習対象とした理由は?
    1. 他の対象ではなぜだめなのか。
    2. 共通に身につけてほしい資質でも存在するということなのか?(→ならばなぜそれを示さない?示せない内容なのか?)
  4. 実習という形をとった理由は?(実習以外の方法ではなぜだめなのか?)

私は、介護等体験実習自体に意義が無いといいたいのではない。そこで何か人生における示唆を受けるも受けないも、今後に活かすも活かさないも個人の心がけ次第であり、そして多くの体験者が何らかのことを得ているという実績もある。決してこの実習そのものは無駄であるとはいえない。
しかし、教員という資格、職業と介護等体験についての関係性を考えた場合、直接的な理由が見出せない。「現場で役に立つから」「人物的に豊かになるから」では、なぜ介護体験をするのかの理由にはならないだろう。「教育者はこれから行う授業の意味や、教科の動機付けをしないと、生徒は教科や授業内容に興味がもてない」(本日の事後指導内の発言から)とか言いながら、介護等体験の意味づけが出来ていない。そして学生たちも、ただただプログラムに組まれているから、義務だからこなしているだけで、意義を問うほどのモチベーションもない。だから、結果的によかった、ためになった、といって話を曖昧な方向にもっていってしまう。
何度も言うけれど、介護体験が悪いとは言っていない(こんなに強調するのも、きょうの事後指導の話し合いで、誤解されていたからなのだが。すぐ皆さん感情的な方向に持っていく。よいことは分っているって。そんなわかった面しなくてもいいからさぁ、説教っぽいのですけれど。ほんと困る。)
良い物は摂取しましょう的な理由なのか。身体的、社会的弱者といわれる人たちに接する意味は?場を設けなければできないことなのか?
上の疑問を解決したい。
これは屁理屈なのだろうか。