平安末期におけるフェミニズム的傾向

ここに、昭和16年(1941年)発行の『日本女性の生活と文化』遠藤元男 四海書房 がある。
この中の「平安末期におけるフェミニズム的傾向」という章では、家父長権の兄弟を誇っていた貴族およびそれに寄生する一般史僚、芸術家、僧侶との経済生活の破綻によって、不安に駆られた女性たちと、死後の魂を救済する浄土教の女人成仏者の規定とのやりとりに、フェミニズム的傾向を見出している。フェミニズムを女権論という捕らえ方をしているものの、章の最後に「そして現在において、新しき社会の悩みに直面して、一般インテリ、小市民層を中心として更にフェミニズム的傾向は現はれてきた。しかし、それは如何に展開するだらうか。それは現代の若き人々にとって重大な関心と實踐が待たれねばならぬものである。」(P174)というように、なにやら革命を期待するような観を持っている。
また、「日本国民」や「大衆」ではなく、「インテリ」という言葉や、マルクス主義弾圧のカモフラージュのために「ブルジョア」の日本語訳として訳された「市民」という言葉を用いて社会に否定的な意味合いを持たせて述べているところからもそのところが伺える。
なかなか面白い部分だったので、ちょっと紹介でした。